バットマン:ダークナイト・リターンズ(F.ミラー 小学館)

絶版なのでアマゾンへのリンクはなし。部室には置いてあります。


記念すべきレビュー一発目がアメコミっつーのも変な話ではあるけど、最近映画化も相次いでいるし流行りネタってことでここは一つ。

結論からいうと、誰も蝙蝠を飼うことはできないということ。ストーリーの筋は、 『引退したバットマンがゴッサムシティに帰還するが、彼の活動を良しとしない政府はスーパーマンに彼を排除させようとする』というただそれだけなのだが、やはりスーパーマンとの違いが浮き彫りになる。スーパーマンは特殊能力持ちでバットマンは違うとかそれ以上に二人のイデオロギー的な意味で。 例えばスーパーマンが善意のヒーローであるのに対しバットマンは悪意の(といって悪ければ憎悪の)ヒーローだということ。犯罪者への憎悪をエンジンとするバットマンは自分しか信じない。そして「信じる」ヒーローのスーパーマンは政府子飼いになることに甘んじながら、「信じない」バットマンは決してそうはならない。誰も蝙蝠を飼うことなどできない。蝙蝠は蝙蝠。

あと本書の特徴はバットマンの復活とその活動に対するゴッサムの住民たちの反応――歓迎するものもいればそうでないものもいる――を逐一挿入していることである。ヒーローのいる世界に住む市井の人々に焦点を当てることで、読者がヒーローの意義に多面的な解釈を施すことを容易にする。

まああれこれ考えずにロビン役のキャリーケリー(従来パートナーのロビンは少年だったためバットマンは少年愛者だと精神科医ワーサム博士に言われたが、本作では少女)に萌えたり悪党どもへのバットマンの言葉に心躍らせたりするのも読み方としてはありかもしれない。あとバットマンの誕生を描いた「バットマン:イヤーワン」と読み比べて共通点や相違点を探すのも良い。

また最終章のプロットが付録されており、実際に出版されたものとはかなり違っていて興味深い。特にスーパーマンとの戦いの場面におけるバットマンのいやらしい台詞が素晴らしい。

ノロマだな、クラーク 君はいつもノロマだった

最近、ロイスとは話したのか?

特に後者はバットマンが外道過ぎる。載せられなかったのも無理はないか。(片)


Last-modified: 2006-08-27 (日) 18:56:59 (4796d)