惑星キャリバン探査隊

 この作品は、五人の地球人が宇宙船「シェナンドー」にのり、シェイクスピアの『テンペスト』にちなんでキャリバンと名づけられた未知の惑星を探査する話である。この星キャリバンに着陸した四人の地球人(あと一人は宇宙船に残っているが、これは解説によると「プロローグとエピローグに登場して本書をより大きなフレームの中で見せる訳をはたす」らしい)が、「ファースト コンタクト」のときの不慮の事故で、異星人の一人が死んでしまい、何とかして事なきを得ようとするという展開になる。

 これら四人の「シェナンドー」の乗組員はそれぞれに、苦悩や喪失感を抱えてキャリバンにやってきたわけだが、キャリバン上陸をきっかけにそれらの原因となったかこの秘密と直面する。このあたりは、この作品の中でも重要な位置を占めているわけであるが、本書の解説で書かれているので省略することにする。

 一方、キャリビー(地球人がキャリバンの異星人にたいして言う)は、電波の放射によってものを見たり、話をする知的生物である(要するに可視光線の波長内ではものを見ることはできないし、もちろん音を立てて話をしない)が、こういった生物とコミュニケーションをとるのに地球人は自分達の言語(もちろん英語)を修得させた。この点に関してはキャリビーに口がついているという御都合主義ではあるが、地球人が機械を使って無機的なコミュニケーションをとるよりも場面がなごやかになっている。

 全体として状況設定が多すぎるのではないかと思う。たとえば本書には「規則違反」や「違反行為」と行った言葉が目立つ。この言葉のおかげで、乗組員は被害者の同胞の裁判で裁かれなければならないし、そのために乗組員一行は惑星キャリバンに残るはめになってしまった。こういった状況設定や話の中で悲劇が連なったために話が停滞し切ってしまったように思われる。

(住田龍也)


Last-modified: 2006-09-18 (月) 04:39:05 (4385d)