不滅の愛

 よくあるパターンといってしまえばそれまでかもしれないが、異世界の異生物の侵略から、現世界を守るというのがメインストーリーらしい。しかし、上巻ではそんな展開があろうとは思えないような、「善」対「悪」のストーリーが展開される。

 この作品は(アート)三部作の第一部であるそうだから、続編の期待はするが、それにしても、何とまあキャラクターが次々と死んで行くんだろう。続編ではもっと多くのキャラクターが死ぬことだろうが、実りのある作品とは言い難い。パーカーの人生観が表れて入るのだろうが、いまいち賛同できない。「人生には三度の安楽のときがあり、それは、生まれたとき、初めて愛する人の隣で眠るとき、死ぬときである」だそうだが、中国における思想では、「生」と「死」は「老」と「病」とともに、四苦の中に含まれている。まあ、個人的な意見として言わせてもらえば、「生」なんていうものはただ単に現世に「個」として出現するだけのことであり、本来ならば、受精の段階が重要であると考えられる。これは、古代中国においては未知のことであり、受精というのは、「思考できる生命の誕生」ではないのだから、本書でも重要に扱われるわけがない。しかし、『ドグラ・マグラ』においては「胎児」が重要であった。

 さて、私の思想、思考は常人とはかなり違うということはわかっているので、もしかしたら本著のような考え方が大衆に受け入れられているのかもしれない。しかし、バーカーも随分と変わった人間なんで、おかしな気分を味わえることは保証します。

(夢野狂作)


Last-modified: 2006-09-18 (月) 04:26:28 (4385d)